2月例会・報告
2月例会報告
参加:伊藤、片桐、工藤、桐山、富山、榎本(典)、榎本(豊)、鈴木
《提案》 Ⅰ. 作文指導入門 ~作文指導のはじめの一歩~ Ⅱ. 三学期 校内研究授業実践の報告
提案者 榎本 典子さん(板橋第一小1年)
提案者の榎本 典子さん。
2009年6月、第5回 国分一太郎「教育」と「文学」研究会(山形)の時、撮影。
Ⅰ. 作文指導入門 ~作文指導の初めの一歩~
1 一学期の目標を立てる
(1)一年生を担任するということで、一学期は、次のことをしっかり取り組んでみよう
と目標を立てた。
①子どもたちに話をさせる
②子どもたちの話を記録していく
(2)それを一枚文詩集にして出していきたいと考えていたのだが、5月の連休の後、
一枚文詩集を出そうとして、〈アレ、ちょっと待った!〉という事情が出てきて、一学期は、
発行をストップ。
①、②は、一学期間、継続して取り組みを続けた。
(3)夏季休業中 、田中定幸著『入門期の作文指導』(原稿版)を読む機会があり、
- 一学期の取り組んできたことの整理
- これから取り組むべき方向
など確認することができた。
2 二学期、『あのね』の発行と「せんせい、あのね」『みんなあのね』をスタート
(1)二学期の課題を次のように決める。
- 子どもたち一人ひとりのページ(国語科学習資料)『あのね』を作り、発行していく。
- 二学期中に、全員(32名)の分を発行する。
ということで、9月1日より発行開始。
(2). 9月7日より「せんせい、あのね」(先生にお話をするように書く)も始めた。
(3)朝の会に、『みんなあのね』のコーナーを設定。日直になると、みんなの前で、
お話をするというふうに決めて、お話をしていくことを始める。
(4) 国語科学習資料『あのね』には、次のものを入れていった。
- その子が、「おはなししよう」で話した中身(一学期に記録しておいたもの)
- 一学期に記録しておいた本人の「文字」「文」(生活科で書いたもの)や「似顔絵」
- 二学期、「せんせい、あのね」で書いたもの
- 途中から、保護者からの感想文なども
(5)上のようなパターンで『あのね』の発行を続け、32人全員分の発行が12月まで
かかって完了。
3 見えてきた課題
(1)課題として残ったもの
- 短く書く
- 「てにをは」を正しく書く
- よく思い出して書く
などは、まだ十分できていない。
(2)あまりあせらずに
田中さんの『入門期の作文指導』の中にも出てきていたが、書きことばで書く
ことを急がないというか、あまりあせらずにやっていっていいと思う。
「ぼくはたいやをのってたの
しかったけどおなかがいた
くなたっけどおもしろかた。
やっぱりりょくどこうえんわおも
しろいや」(一学期、生活科のこうえんたんけんで書いたもの)
「やっぱりりょくどうこうえんはおもしろいや」のような表現は、「です」「ます」の
書き方では出てこない。話しことばには話しことばの良さもあると思う。
(3)『あのね』の発行で
『あのね』を子どもたちはとても楽しみにしていた。
プリントした『あのね』をみんなで読み合うことで、いろいろなことを知ることが
できたし、友だち理解にも役立ったのではないかと思う。
(4)『みんなあのね』の取り組みは
朝の会で取り組んできた『みんなあのね』は、三学期もずっと続いている。
10文以上を使って、みんなの前でお話をする子が増えてきている。
お話しすることが大好きになってきている感じ。
「もうそろそろおしまいにしたらと言っても、話しが続くのね!」と、典子さん。
Ⅱ. 三学期 校内研究授業実践の報告
1 指導の流れ(概略)
(1)教科書の「よく見て書こうーしらせたいな、見せたいなー」の単元を使って
の実践報告でした。指導の流れ(概略)は、以下の通り。
①共通体験したことを書かせましょうということで、歩いて15分くらいのところ
にある動物公園へ出かけて動物を見てくることを計画。
②教科書の参考作品では、ひとまとまりの文章としては参考にならないので、
「学校のもこ」という参考作品を作成。はじめ、中、おわりのある文章にした。
③それに合わせて、「モルモットのもこ」のカード(メモのしかたを学ぶ資料)も作成。
④出かけていった動物公園で、動物の絵を描かせた。
⑤教室で、その絵に、知らせたいことのメモをつけさせる。
⑥そのメモをもとに、「文カード」に書いていく。
⑦はじめの文章(はじめ)、まとめの文章(おわり)にどのような中身を入れたらいい
か考えさせる。
- はじめの文章には、どこの動物か、いつのことか、だれに知らせるのかなど。
- まとめの文章には、感想など。
⑧はじめの文章は水色のカードに、中の文章は黄色のカードに、まとめの文章は
ピンクのカードに書かせ、最後に、原稿用紙に清書させていった。
(2)できあがった作品は、「しらせたい」と書いた相手の、お父さん、お母さんに必ず
読んでもらうようにし、感想を書いてもらった。
親もしっかり受け止めて感想を書いてくれていて、とてもうれしい。
(3)できあがった作品の中から、一作品を選んでプリント。全員で読み合った。五官を
働かせているところなど確かめながら読んでいった。
2 話し合い
主に、第二部の研究授業の実践に関して、話が出ました。以下のような内容でした。
◆親の感想がとてもいい。全員の親が書いてくれたのですか?-という質問に、
- 全員が書いてくれたこと
- 親の感想に、担任自身が感動したこと
が、典子さんから。
◆丁寧に、指導が計画されていていい。
一回限りのできごとに心が動いたことを書く、その体験をどんどんさせていくこと、
そこにつなげていくといいだろう。
◆教科書には、「いえの人にしらせましょう」とあるが、教科書の参考作品には、
そういった文が入っていない(絵にはあるが)。
典子さんは、読み手を指定するように書かせている。
例: 「○○○のことをおかあさんにしらせます」
そして、それに対して、親から返事がある。
こういうことを繰り返していると、親子の間に、会話が生まれてくるかな。
低学年としては、これはいい。
◆国語科の目当てに関連して、朗読の効果が問題となりました。
結論としては、中身をしっかりつかんだ上での朗読ならいいが、念仏のように
となえるだけじゃあダメだろうということから、「斉藤孝」論まで!
◆原稿用紙は一年生にはむずかしいだろうか、という質問から、原稿用紙の
使い方について。問題となったのは、「 」の中が2行になった時、2行目も、
一字下げるのかどうか。
- 教科書の物語では、2行目は一字下げている。
- 一字下げずに書くと、ずっと指導してきた。
- 見やすいということで、一字下げで書く人もいる。
*結論出ず。
◆親に読んでもらい、感想を書いてもらうという取り組みはとてもいい。
この感想は、子どもにとっては「宝物」になっていくと思う。
◆上の意見に関連して、子どもは聞きたがりや、特に、自分の小さかった頃の
ことなどは、何度でも繰り返し聞きたがるという話。
◆最後に、『あのね』を「○○通信」とせず、「国語科学習資料」としたのは、
「快挙!」という意見が出ました。
*典子さん、どうもお疲れ様でした!