『「私」の国分一太郎研究』は、国分一太郎の生きた時代とその思想の研究であると同時に、「私」自身の自己史でもある。

豊島作文の会 5月例会の報告(2012年)

豊島作文の会 5月例会の報告(2012年)

第469回  5月例会(5月26日)報告    2012年6月2日

参加:伊藤、片桐、工藤、桐山、鈴木、富山、寺木、榎本(豊)

《提案》
『 「冬休みにね…」 2年生の詩の指導 』
    
提案者   富山 悦子 さん(非常勤教員)

◆昨年度(2011年度)の3学期に行なった詩の指導の実践報告でした。
 昨年度、富山さんは、非常勤教員として、5、6年の家庭科、二年生3クラスあるうちの2クラスの図書、書写の指導を担当していました。

 冬休みが終わってはじめての書写の時間、冬休み中の出来事を次から次と話しかけてくる2年生の子どもたち。それがきっかけでした。

 せっかくだから、冬休みのことを詩に書いて、詩の本を作って読み合えるといいねということになり……。

 それで、富山さんが、2年生3クラス全部で、特別に、詩の指導をしていくことが決まります。

◆富山さんは、『日本の子どもの詩 29 奈良県』から参考作品を二つ、さらには二つほどクラスの子どもたちの作品を使って、題材指導、表現指導、推敲指導に関連して、次の4点について指導。

1.詩は、一番伝えたいことを書く。

2.1つの詩には、一つのことだけ書く。

3.したこと、見たこと、聞いたこと、思ったことをよく思い出して、とくべつなことだけを書く。

4.題でわかることは、いらない。

 
 上の指導の後、書く作業に入っています。各クラスの指導時間は、4~5時間。

◆3クラス全員が詩を書き上げ、クラスごとの「詩集」が完成。

◆子どもたちは大喜びで、「特に、個別指導を要した子ほど、自分が詩を書けたことと書いた詩が友達の前で読まれたこと、友達に賞賛されたこと」をとても喜んでいたとのことでした。

◆富山さんの提案を聞いていて、随所に、ベテランらしい指導の仕方がみられ、さすがと感じました。たとえば、次の四つなど

・冬休みにあったことを、思いつくままにたくさん発表させ(全員に1回以上)、板書していく(これでほぼ1時間)。

・「書き初め」のことを書きたいと発表した子に、クラスみんなの前で、「はじめにどうしたの?」「それから?」「それからどうしたの?」と問いかけ、言ったことを黒板に書いていく。そして、少しでも良いところがあれば、「ここ、いいね!」と大絶賛。書き方のコツをつかませていった。

・書き始めた子どもたちの机間を巡視しながら、「いいねえ。」「よくわかるなあ。」「楽しい。」などの言葉を連発。時には、書き上げたところを声に出してみんなに読んで聞かせ、クラス全体の意欲が高まるように配慮。

・何を書いたらいいのか分からない子には、座席の横に椅子を持って行き、「冬休みどんなことがあったの?」「一番みんなに話したいことは?」など、まず話を聞いていくようにした…等々、特別な解説はしませんが、このような指導をさらっとやることのできる「教員」は少なくなりましたよね。3人いる2年生の担任の先生たちは、富山さんのこのような姿をはたしてどのように受け止めたのかなと思います。

◆ 感想・話し合いから

・子どもたち、場面を切り取れている。

・立ち止まって書くというのは、とても大事。いい仕事をされた。

・詩は担任との合作でいいと、国分一太郎は言っている。「それから」、「それから」、「それから」と問い、ふくらませていくことは大切な作業だと思う。

・参考作品の『山へいったこと』を読みあったこと、題の指導としていい。

・『山へいったこと』は、敷居が低くて簡単でいいのではと思って、参考作品にしてみた。

・個々の面では、さまざまな課題をかかえた子がいるようだが、この学校の子どもたち、落ち着いていて賢いといえる面があるのかも知れない。

・ねらいがはっきりしているのがいい。どの子も、話題が違っていて、書けている。

・短期間でこれだけ書けている。先生への信頼がある。

・非常勤になって、ムキにならなくなった。担任で、自分のクラスということだったら、はたしてどうか。今は、みごとにふっきれている。子どもを、受け止められるようになった。今の方が子どもたちから声がかかる。「先生」のイヤな部分が出ていないのかな。

・教師が一生懸命やっていることが迷惑であることもある。不思議でね、教師本人、自分では見えないことがある。

・上から目線がなくなると楽しいよ。

・気が楽だと、心の余裕が出てくるからね。

・全員の子が書く場を持てたこと、幸せだったと思う。支援の必要な子がほめられたこともとても良かった。2年生の3人の担任の先生にも、新しい発見があったのではないか。

・日本の教育ががさがさしてきている中、先につながるいい仕事ぶりをみせていただいた。子どもたちと担任の先生たち、どちらに対しても、いい仕事をされたと感じる。

      作品紹介

  たぬき
           女子
山道で
子どものたぬきがたおれていた。
おなかがピクッとうごいた。
口からちをはいていた。
カラスがたぬきをつついた。
茶色のタカがきて、
子どものたぬきの足を食べた。
たぬきの足のほねが見えた。


  おひっこし
         男子
あたらしいいえで
さっそくごはんをたべた。
おなかがいっぱいになった。
トイレに行った。
じぶんのへやで
あそんだ。


  チューブ
            女子
チューブにおしりを入れた。
おじさんがチューブのつなを
ぼうにかけた。
さかの上に行ったら、
いきなりチューブがビューと下りた。
ゆれながらくねくねまがって、
だんだんスピードがはやくなって
妹に手ふられたけどふれなかった。


  はたけでお手つだい
            男子
おばあちゃんちでにんじんをとった
にんじんははたけに立っていた
ねぎもとった
ねぎは白いところが土にうまっていた
大こんもとった
大こんはおもかった
休まないでとった
とれたら
自分がころがった


 白鳥
           男子
海にいた
およいでた
足のゆびのところがつながっていた
白鳥は はがないから
パンをちぎってあげた
ほかの鳥がくった
白鳥はパンを見てほえた
パンをほかの鳥にみんな
くわれた


  とこやに行った
           男子
お父さんと
とこやで
かみを切ってもらった。
うしろが気もちよくなった。
前がよく見えるようになった。
すっきりして
気もちがよくなった。
うまいぼうをもらった。


  いとこ
           男子
三さいの みちひろ
ぽっちゃりけい。
五さいの りゅうのすけ
かめんライダー大すき。
八さいの のぶ   
がんばらいど大すき。

みんなであそんだ。


  おじいちゃんのねこ
           男子
おじいちゃんのねこは
いつもこたつにはいってねむっている。
ぼくもさむいから
こたつにはいる。
ぼくがこたつのふとんをあげると、
ねこは、目をあけて、ぼくの足をひっ
かいて、こたつから出ていく。
ぼくは、ひっかかれるのは、いやだ。

                                                ( 文責 工藤)


 

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