第11回 国分一太郎「教育」と「文学」研究会・《学習会》2017のご案内
第11回 国分一太郎「教育」と「文学」研究会・《学習会》2017のご案内
『道徳』と『作文教育』を考える
日ごろから、本会にご支援、ご協力をいただきありがとうございます。今年も7月15日、16日に、国分一太郎のふるさと東根で第13回国分一太郎「教育」と「文学」研究会を開きました。国分一太郎や佐藤文利らが実践した「生活綴方」「想画」を中心に話し合われ、画文集『昭和の記憶』発刊にむけても、意義のある研究会になりました。たくさんの方々のご協力に感謝申しあげます。
さて、現在、「道徳」の教科化によって選後初めて検定が行われ、2018年度から使用する「特別の教科 道徳」の小学校教科書の採択が行われています。今回の学習会では、教育にたずさわるものとして、どうこの状況を受け止め、どう対応したらよいか、また、作文教育がそれとどうかかわるのか。さらには、教育本来の目的について、報告者の提起をもとにみなさんで考えたいと思います。
むずかしい課題かと思いますが、どうぞ気軽に誘い合ってご参加下さい。
1.日 時 2017年11月26日(日)
9時30分~4時30分(受付開始9時15分)
2.場 所 豊島区立南大塚地域文化創造館(第一会議室)
3.内容
9:30~10:00 開会行事
10:00~11:30(報告1)
❏ 生活綴方を「特別の教科 道徳」に位置づける
貝田 久(さいたま教育文化研究所)
11:30~12:00
画文集『昭和の記憶』発刊について
ー昼食ー
13:00~14:30〈報告2〉
❏ 時を越え、国境を越える生活綴方
―中国の大学で制作した4冊の文集―
安孫子 哲郎(本会員)
13:00~14:30〈報告3〉
❏ 国分一太郎の思想形成
―立身出世主義と生活綴方―
安部 貴洋(山形県立米沢栄養大学)
6:10~16:30 〈閉会行事〉
4.参加費 1,000円(資料代として・会員は無料)会員の年会費2000円。
その他 ・研究会終了後、懇親会を予定しています。ご出席の方は、事前に電話等で連絡下さると、大変助かります。遠来の方で宿泊される方は、各自でお取り下さい。
《主催》豊島作文の会・綴方理論研究・国分一太郎「教育」と「文学」研究会
《連絡先》豊島作文の会 国分一太郎「教育」と「文学」研究会事務局 〒332-0023 埼玉県川口市飯塚1-12-53 榎本 豊方 TEL・FAX 048-256-1559 携帯 090-4920-7113
《報告者より》 ☆敬称略
□生活綴方を「特別の教科 道徳」に位置づける
貝田 久(さいたま教育文化研究所)
生活綴方を柱とした作文教育は、子どもたちが生活の事実を通して感じたこと考えたことをありのままに表現したり読み合ったりすることによって、ものの見方・考え方・感じ方・行動の仕方を育むものです。言いかえれば生活に根ざした知性・思想・感情・道徳的実践力を豊かにする教育と言えます。
この度の道徳検定教科書を見ても、子どもの作文をとりあげている例がいくつも見られます。子どもの作文が道徳性を高める良き教材となり得ることを認めているからです。来年4月に小学校で始まる「特別の教科 道徳」(道徳科)の中に生活綴方を位置づけることは、子ども一人ひとりが、生の現実から目をそらさずに「当事者」として「よりよく生きる」道筋を拓く道徳教育となるでしょう。
道徳教科化で「国定徳目」を徹底しようとされる中で、綴方教育は「子どもから出て 子どもに還る道徳教育」を展開していく大きな可能性を持っています。その具体的実践を報告します。
□時を越え、国境を越える生活綴方
―中国の大学で制作した四冊の文集―
安孫子 哲郎(本会会員)
1970年度、國學院大學文学部に入学。中国語研究会に所属し、中国語学習や魯迅の研究に取り組んだ。1974年度から、山形県の高校教諭(国語科)として38年間勤務。その後も常勤講師として二年間、県内の高校で勤務した。
その間、日教組主催の全国教育研究集会に、県代表のレポーターとして12回参加した。そのうち10回が、日本語教育作文分科会であり、テーマは文章表現指導の土台であると捉える『生活綴方』を、高校生の小論文指導にどう生かすかである。さらに、『生活綴方』に根差した表現(音声も含める)の大切さを、より多くの人たちに知ってほしいと考え、『生活綴方』の普及活動にも取り組むようになった。
2014年、これまでの集大成として『明日を紡ぐ若者たち~教え子たちの高校時代の作文、そして今』を自費出版。一般の人たちにも『生活綴方』の良さを届けたいと祈念したのだが、重版には至らなかった。
そして、2015年9月から2年間、福建省の闽南師範大学で日本語講師を務めた。
四年の古典文法の授業で『現代中国版枕草子』の文集、三年の日語报刊の授業で個人新聞形式の文集を発刊。『生活綴方』は時代を越え、国境を越えるものであると、確信することが出来た。
□国分一太郎の思想形成
―立身出世主義と生活綴方―
安部 貴洋(山形県立米沢栄養大学)
報告では、生活綴方にいたるまでの国分一太郎の思想形成、特に国分と立身出世主義との関係を中心に考察したい。国分の思想形成に関しては、すでにいくつかの考察がなされている。
それらの考察においては、自然、三日町、家族との関係のなかで生活綴方へいたる思想がどのように形成されたのかが論じられている。だが、これらの考察において国分と立身出世主義の関係はほとんど論じられていない。確かに、いくつかの論考は立身出世主義が国分の思想形成に大きな影響を与えていることを指摘している。また、国分自身、様々な文章において立身出世主義の影響の大きさを書いている。
だが、立身出世主義が具体的にどのような影響を及ぼしたのか、あるいは立身出世主義が国分の生活綴方とどのように関係しているのか、これらの点が論じられていない。そこで報告では、国分と立身出世主義との関係から、国分の思想形成を考察したい。
■国分一太郎「教育」と「文学」研究会・紀要 発売中
頒価 600円
「教育」と「文学」の研究 第6号
□研究論文
・「概念くだき」にみる国分一太郎 安部 貴洋… 1
・魂の教育者・詩人「近藤益雄を読む」(2~4) 永山 絹枝…右1
(二)益雄と第一童謡詩集『狐の提灯』(上志佐小時代)…1
(三)第二童謡詩集『五島列島』(小値賀小時代)…4
(四)文詩集『勉強兵隊』と童詩教育…9
・国分一太郎詩〈「胸のどきどきとくちびるのふるえと」をなくす〉とは
―井上ひさしの推薦文「忘れられない少年詩」をめぐってー(2010.7その後)梅津 恒夫…35
□「特集」山田 ときさんを偲ぶ 右18
・「おすず」の水 山田 とき 19
・赤湯のばあちゃんへ 未生 20
・弔辞 小林 邦子 21
・小どもと生きようとして 山田 とき 22
・みどり児と牛乳びん 山田 とき 25
・書簡 山田 とき 26 ・ブログより 27
□会員からの便り 中谷 義人…右15
那須 備述…右17
□史料紹介
・「日本の児童詩教育のはじまり」
国分一太郎学芸大学特別講義「生活綴方と昭和国語教育史」その6
田中 定幸…8
□編集後記…右30
「教育」と「文学」の研究 第5号
□研究論文
・国分一太郎と希望としての食 安部 貴洋… 1
・伸びて繁るものは必ず根あり
―国分一太郎の教育観と生活綴方― 玉田 勝郎…右1
・魂の教育者・詩人「近藤益雄を読む」(その一)
「教師への道」 永山 絹枝…右14
・「エヤッスウ」の「物語」における「位相」
―方言に秘めた「母への愛」を読み解く― 荒木 美智雄…右19
□短歌・作文・
・風を待つ 藤田 美智子…右29
・国分先生がなくなった日 船越小学校5年 内田 光太郎…右31
□会員からの便り 中谷 義人…右33
□史料紹介
・「生活綴方」と昭和国語教育史
―国分一太郎学芸大学特別講義より その5 田中 定幸… 7
□編集後記…右34
南大塚地域文化創造館への行き方
◆住所:〒170-0005 豊島区南大塚2丁目36番1号
電話:03-3946-4301
◆東京メトロを利用の場合
「東京メトロ 丸の内線 新大塚駅」1番出口より徒歩7分。
◆JRを利用の場合(お勧め!)
「JR山手線 大塚駅」(南口)より徒歩5分。
◆都電荒川線を利用の場合
「都電荒川線 大塚駅前」より徒歩5分。