『「私」の国分一太郎研究』は、国分一太郎の生きた時代とその思想の研究であると同時に、「私」自身の自己史でもある。

信頼に足るジャーナリズムとは?…月刊誌『選択』を考える

信頼に足るジャーナリズムとは?…月刊誌『選択』を考える

 2015年8月28日(金)~30日(日)に、毎年恒例の夏合宿があり、それに私は、次のようなレポートを提出した。

◎月刊誌『選択』…この情報誌をどう評価するか

1.『選択』との出会い
A.『日本の聖域(サンクチュアリ)』(新潮文庫 2012年11月1日発行)を購入。
B. 2013年2月号から月刊誌「選択」が届いている。ということは、11月、12月、年の明けた1月とこの本を読み続けたうえで、1月中に、購読の申し込みをしたことになる。

C. 日本の聖域(サンクチュアリ)』(新潮文庫)の中身は、以下の通り。

「はじめに」として、 月刊誌「選択」編集長 湯浅次郎がこの本の編集方針を語っている。
(1)「聖域(サンクチュアリ)」
・人物、制度、組織…「無駄や利権の温床」となっていたり、あってはならないような「背徳行為」が行われていたりするのに、「絶大な権力や権限を有する」がゆえに、追及の手が届かないままになっている
(2)「陽も当たらず、風も通らずとなれば、権力は淀む。」「外からは見えづらくなってしまった聖域の実態を白日の下に晒してみようではないか。」「その一念で始まったのが月刊誌「『選択』の連載『日本のサンクチュアリ』」。創刊(1975年)以来続いている名物連載。
(3)「創刊期の主要な筆者であった筑紫哲也氏」として、筑紫哲也が執筆をしていたことが紹介されている。
(4) 『選択』は、原則として「筆者無署名主義」をとっている。理由を次のように、説明している。
・「署名は正直になれない」(イギリスの出版界で古くから伝わる格言)…ジャーナリストや評論家が知りえた情報について、ありのまま、思ったままを述べるのには無署名の方が良い。

◇第一部 欲望が生み出す闇
①入国管理局 知られざる光と影
②諮問機関委員 「肩書きコレクター」の玩具
③生保「総代会」 こんな「お手盛り」がなぜ許されているのか
④「人工透析ビジネス」の内幕 患者は病院で作られている
⑤パチンコ業界 警察利権としての三十兆円産業
⑥原子力安全・保安院 経産省はなぜ分離独立を認めないのか
⑦厚労省の犯罪「ドラッグラグ」 助かる病人を殺している
⑧創価学会エリート官僚 「池田神輿」をかつぐ高学歴集団
⑨児童相談所 「父親による虐待」が問題化しないのはなぜか
◇第二部 とがめる者なき無為無策
①日本最大の機関投資家「農林中金」 サブプライム汚染どこまで
②学生のいない学校「国連大学」 外務省の裏金作りの道具に
③国営「穀潰し」独立行政法人 これぞ「改革偽装」の典型
④四都立松沢病院 荒廃する「精神科の総本山」
⑤「東京高等裁判所」 検察べったりの「官僚司法の砦」
⑥国立大学「法人化」の内幕 「東大+α」以外はなくてもよい
⑦2700万匹「ペット市場」の実態 毎年30万匹が「処分」されている
⑧日本銀行 問われる「経営の健全性」
⑨無きに等しい「検屍制度」 見逃される殺人事件

◇第三部 国民への背信行為は続く
①厚労省「医系技官」 医療荒廃の罪深き元凶
②ひん死の「国立がんセンター」 厚労官僚が「倒産の危機」に追い込む
③食品安全委員会 役立たず「農水省の植民地」
④日本相撲協会 何から何までカネカネカネ
⑤企業監査役 海外投資家から不信の目
⑥NHK 指導者不足のメディア帝国
⑦交通安全協会 「警察一家」極めつけの利権
⑧精神鑑定の世界 これでも日本は法治国家か

◇「慧眼と絶望と希望と」 池上 彰

2.月刊誌「選択」の編集方針
(1)《 経済の新連載を始めました。題して「経営者東京裁判」。十年、二十年先の社業に禍根を残したトップを取り上げ、その罪を問うのが趣旨です。自社の株価に一喜一憂し、目先の利益にとらわれ、あるいは自らの任期を大過なく過ごすことだけに腐心する。勝負所で果断な成長戦略を出せなかったり、その逆に無謀な投資の泥沼にはまったり――。見渡せど「名経営者」の誉れにふさわしい人物が少なくなったように思います。にもかかわらず世のメディアには、綿菓子のごとく軽く甘ったるい経営者ヨイショ記事が氾濫するばかり。マスコミ各社もろくなトップに恵まれず、広告収入依存が行き過ぎるせいで、提灯記事ばかりが増えるのでしょう。小誌ならではの連載を目指す所存です。(J) 》
(2015年4月号 編集後記)

(2)《 情報誌の役割はなにかと問われれば、書かれる側にとって不都合な真実を明らかにすること、と思い定めています。権力や権威を照射する小誌にとって、報復としての訴訟はつきもの――だったのですが、2012年12月、金子原二郎参院議員に完全勝訴して以来、二年以上も「係争案件ゼロ」が続いておりました。書かれた側から相手にされなくなったのなら、それは雑誌にとっては終わりの始まり。とても不健全な状況です。
 そんな危機感の中、先月久々に名誉棄損で訴えられました。といっても、相手はパチンコ業界のマルハンという会社なので冴えない話ではあります。三月号の経済カプセルに噛みついてきたのですが、驚き呆れるのは損害賠償の請求額。何と一億一千万円です。常軌を逸する金額に、マルハンなる企業の体質や品性がうかがえますね。パチンコをネタに稼ぐ会社ゆえ、何から何までカネカネカネなのでしょう。高額請求をもって言論を威圧・恫喝する、いわゆるスラップ訴訟の典型と思われます。
 当方、もとよりこの種の訴訟に屈するくらいなら、こんな雑誌を発行していません。むしろ久しぶりの裁判を機に、今後はパチンコ業界の闇へ今まで以上に切り込んでいこうと意を固め直したところです。斯界の事情通や「我こそは」の告発者がいましたら、ぜひご一報を。(J) 》 (2015年5月号 「裏通り」)
*2015年3月号 「パチンコのマルハンが北朝鮮へ送金疑惑 カンボジアの自社系列銀行で資金洗浄か」という見出しで記事が書かれている。

(3)《 民放テレビの報道の仕事に十七年ほど携わったが、思い返せば「あれもダメ、これもダメ」の自主規制だらけだった。誰かが不祥事を起こすたびに、マニュアルだのコンプライアンスだのと書かれた冊子が配られ、年を追うごとに厚さが増した。低コストで当たり障りのない取材が尊ばれ、幹部社員の無事の出世が優先される。反権力はとうの昔に死語になり、
反骨精神などと口走れば失笑を買うだけ。結果、テレビ報道に信を置かない視聴者を増やしてしまった。今、政権与党に付け込まれているのも、業界全体の自業自得と言えよう。
 放送基本法制が成立してから六十五年。国民の知る権利のための法律も、随分と乱雑に扱われるようになった。先進諸国から、「B級民主主義国」と笑われそうだ。(J) 》
(2015年5月号 編集後記)

(4)《 「ご挨拶にうかがいたい」との趣旨で、先日は共同通信の幹部か来社しました。何の挨拶かと思いきや、やおら胸ポケットから紙を取り出して曰く、「弊社に関するこの記事ですが、事実と異なります」――。堂々と小誌への抗議と言わないでやってくる姑息さは置いておきましょう。問題は、記事のコピーを持ってきたことです。当たり前ですが、著作物の無断複製は法律に触れる行為。それを「これ見よ」と突き付けたこの人物、肩書が「コンプライアンス室長」というから、まるで漫画です。
 インターネットの時代、「情報はタダで当然」という風潮が広がっています。しかし、読者からお預かりした年間一万二千円を元手に、経費をかけて毎月編んでいる雑誌を、コピーでタダ使いされてはたまったものではありません。例えば、日本航空のような大会社も、公式の購読はたった一部だけ。それで本社の末端から海外支店にまで、自社に関する記事の複写やPDFファイルを撒き散らしているというから酷い話です。
 民間企業だけではありません。霞が関でも脱法行為が横行。「こんな記事、書かれちゃったよ」と連載「罪深きはこの官僚」にご登場の役人が同僚や記者にコピーを渡す、なんてことは日常茶銀事です。官も民も、国民の知る権利を守る社会の番犬に、餌を食わせて養う気がないのですから、困ったものです。(J) 》(2015年 7月号 「裏通り」)

(5)《 支持率下降中の安倍政権、潮目となったのは、例の自民党勉強会でしょう。「マスコミを懲らしめるには広告料収入がなくなるのが一番」との発言に、メディアが珍しく団結して大反発。図星を突かれた新聞・TVの躍起な姿からは、本気で企業に圧力をかけられてはたまらん、との焦りも透けて見えました。
 小誌は幸か不幸か、広告料では懲らしめられない状況にあります。昨年度の売上高のうち、約97%が購読料収入で、広告料収入はスズメの涙ほどしかないのですから。「これぞジャーナリズムの理想型」と褒めてくださる方もいますが、そんなに立派なものでもありません。個人の購読者数は着実に増えてきましたが、新たに広告を出そうという奇特な企業はなかなか現れなかった、
というだけのことです。
 無駄な努力はするまいと、昨年6月からは広告営業の専門職も廃止しました。今は二児の子育て中の女性社員が、編集と兼務で細々と企業回りをしている程度です。ところがなぜか、片手間になってからの一年で、前年比三割近くも広告収入が増えたものですから驚きました。女性活用の功徳かもしれませんが、減る時もきっと、泡のように消えていくのでしょう。
 広告収入はあくまで余禄。依存が始まったら終わりです。独立不羈の維持のためにも、スズメの涙で留めておきます。(J) 》(2015年 8月号 「裏通り」)

3.検討資料
(1) 「種子ビジネス」で世界の農場を支配 米国「食糧覇権」の強欲
  (2015年 3月号)

(2)安易な農協改革が農村を破壊する
  (2015年 5月号 巻頭インタビュー)

(3)やがて日本も「二の舞」に 米国に潰された「メキシコ農業」
  (2015年 5月号)

4) 安倍「米国追従路線」が陥る罠 TPP「エゴ丸出し」米議会の策謀
  (2015年 7月号)


◆ここからは、2016年9月9日(金)の記述である。
おそらく、私は、これからも月刊誌『選択』の記事を取り上げて、記事(レポート)を書いていくことになるだろうと思う。中々、これだけのしっかりした報道・記事を書き続けていくジャーナリズムはないのではないかと思っている。日本に『選択』あり!『選択』にすぐれた記事を世界中から送ってくるたくさんのジャーナリストたち。私は、この月刊誌をすぐれたものとして推薦したい。
 申し込みをすると、月刊誌『選択』は、かっきり毎月1日に送られてくる。申し込み用の住所・連絡先を以下に記載。年間予約購読・自宅への郵送制で、年間予約購読料は、12冊で12,000円(送料込み)。
 本と一緒に請求書が添付されてくるので、支払いはご自分で!

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